皆さんは普段乗る鉄道車両について意識することはありますか??
まあ、普通はないと思います笑
本日はJR東日本が1993年から投入した209系電車について見ていきたいと思います。
国鉄から引き継いだ老朽化した車両たち
ご存じの通り、JRは、1987年に国鉄を分割して発足した鉄道会社です。
国鉄時代の通勤車両と言えば、101系、103系、201系、205系などが有名どころだと思います。
中央線の201系や、東京メガループの205系などは最近まで活躍しており、乗ったことのある方も多いと思います。
しかし、その車両たちは1960年代に大量投入されたものが大半で、JR発足時にはかなり老朽化していました。
大体車両の寿命は20~30年ほどと言われているので、まさに置き換えなければならないタイミングでした。
国鉄車の考え方としては、鋼鉄などを用いて頑丈な車両を作り、なるべく長く使うという考え方が一般的でした。
しかし、頑丈に作るには費用も掛かる上、車両そのものも重く、電気代もかかりやすいという欠点があります。
そこで、JR東日本は全く新しい通勤電車を確立し、その子孫は私鉄にまで広がっていきます。
JR東日本の広大な首都圏ネットワーク
上記の国鉄車そのものに起因する理由の他、JR東日本の広大な首都圏ネットワークも209系誕生の背景には影響していたと言えると思います。
山手線を中心に、五方面に伸びる通勤路線網のほぼすべてに国鉄車が引き継がれ、その置き換え対象は3000両前後はあったと推測できます。
国営だった国鉄ならまだしも、営利企業となったJRにとってはコストを下げた鉄道車両を開発するというのも当然だったのかもしれませんね。
209系の歴史
さて、様々な要因が相まって全く新しい車両を開発することにしたJR東日本。
その元祖とも言えるのが今回の主役、209系です。
この車両の開発コンセプトは、重量半分、価格半分、寿命半分でした。
ひとつずつどういうことなのか見ていきましょう。
重量半分
まず、重量半分は言うまでもなく、車両の重量を国鉄車の半分にするものでした。
103系は1両40トンほどありましたが、209系では25トンほどにまで減量しています。
ステンレスを用いることで軽量化に成功し、更には錆にも強くなったことから、車両全体への塗装も不要となりました。
価格半分
続いて価格半分。
こちらも重量と同様に製造費を抑えることで大量投入が簡単になり、3000両にも上った国鉄車を一気に置き換えることに一役買いました。
寿命半分
さて、最も誤解を生んだのが、この寿命半分です。
これは法律上の鉄道車両の減価償却が13年となっているのですが、その時点で仮に廃車にしたとしても元が取れるような車両、という意味です。
13年使用した時点で廃車にしても良いし、機器更新をしてまた使っても良い、どちらでも損はしないように作った車両です。
ところが、当時の鉄ヲタたちは、この意味を取り違え、13年使ったら廃車にする使い捨て車両だと理解した方たちも多かったようです。
それゆえ、209系デビュー時に流行っていた富士フィルムの使い捨てカメラ、写ルンですをもじって走ルンですと呼んだとか。
209系
まずは手始めに京浜東北線で活躍していた800両ほどの103系を209系で一気に置き換えました。
その後は近郊型であるE217系を投入し、総武快速、横須賀線の113系を、標準型となるE231系は総武緩行線、常磐線快速、東北、高崎線系統、山手線などに投入し、着実に国鉄車を置き換えていきます。
その後も209系の子孫は増え続け、E233系は計8路線に投入され、東京に乗り入れる電車に関しては国鉄車を全て置き換えました。
更に209系の子孫はJRのみならず私鉄にも波及し、小田急、東武、東急、東京メトロ、西武など多くの私鉄の新世代を担う車両が誕生します。
そんな209系でしたが、13年が経つ頃にはE233系が主流となり、岐路に立っていました。
当初は予定通り、廃車にする計画もありましたが、房総に目を向けてみると、なんとまだ113系が活躍していました。
流石に房総の塩害などの影響で腐食の酷かった113系は置き換えざるを得ないというこで、短編成化の上で房総6路線に活躍の場を移し、今に至ります。
いかがだったでしょうか?
鉄道車両に大きな革命を起こした209系。
当初は13年で廃車の予定でしたが、房総に活躍の場を移し、当初の倍近い活躍期間を迎えようとしています。
房総の塩害はあまりにも酷く、かなり汚れていたり、ベコベコになっていたり、流石に本当の寿命も近いのかもしれませんねぇ…
今のところ、房総ローカルは一部をE131系に置き換えただけですが、いずれにせよ数年のうちに209系も本当の引退を迎えるかもしれません。
房総に行く際には是非209系をご利用ください!
今回もお読みいただきありがとうございました。